高校の放送局向け、PA機材マニュアル その2 ミキサー編

・Input/Output
ミキサーは音を入力するInputセクションと音を出力するOutputセクションの2つが搭載されている。
Inputセクションはコネクタから音を入力、音量の調節、どのOutputに割り振るかを指定する。主として左側。ミキサーのスペックを示すときはInputセクションの性能(≒Inputできるch数)を用いて表すことが多い。
OutputセクションはInputセクションで割り振られた音の音量や定位(音の左右のこと)を調節し、コネクタから出力する。主に右側。最低でもLRのMASTEROutputが1つは用意されており、その他にもモノラルで出力するCENTER(メインスピーカーがモノラルのときに使用)やAUX(モニタースピーカーに使用)、SLAVEOutput(MASTEROutputがもう1つあると考えればいい)などがついているものもある。
・GAIN
GAINとは入力する音量のこと。主としてミキサーInputセクションの一番上についている、ダイアル式のツマミで調節する。
フェーダーに比べ音量の増減幅が大きく、チューニング時の音量調節に用いられる。
ちなみに、ウチではダイアル式のツマミの値を表すときにはそこに書いてある数値ではなく「時刻」で表している。
どーいうことかって、たとえば0~50~100って感じのツマミがあって、50を指している場合は「12時」って表して、20を指しているときは「9時」って表して…ってこと。
機器ごとにダイアルの値が違ったりするからなんだよね。これだと0~10だろうと0~10000だろうと同じように調節できるから。
・フェーダー
フェーダーとは、ミキサーの一番下についている、長方形で上下にスライドできるもののこと。上に上げれば大きく、下に下げれば小さくなる。
出力する音量を調節する。通常のものは0が規定値であり、GAINで設定した音量のまま出力する。古いものだと8が規定値のものもある。どのミキサーでも、規定値から大幅に上げた状態は望ましくない。
GAINに比べ音量の増減幅が小さく、本番中の音量調節に用いられる。GAINはツマミでしかも一番上にあり、調節がしづらいからだ。
・STEREO/GROUP
本格的なPAシステム用のミキサー(16ch~)だとフェーダーの横に「ST」や「1-2」といったボタンがついていることも多い。これは何かというと、入力してやるOutput先を選択するためのボタンである。
STを押すとOutputのSTEREO(で大抵はMASTER兼用)に、1-2を押すとOutputGROUP1-2chに、といった感じで。
GROUPというのはInputしてきた音を一度ミキサー内でまとめてやる機能のこと。
通常のミキサーの音の流れ:
マイク→ミキサーInput→InputGAIN→Inputフェーダー→OutputMASTER→EQorAMPorSP
STEREO/GROUPつきのミキサーの音の流れ(STEREOを選択):
マイク→ミキサーInput→InputGAIN→Inputフェーダー→OutputSTEREO(MASTER)→EQorAMPorSP
STEREO/GROUPつきのミキサーの音の流れ(1-2を選択):
マイク→ミキサーInput→InputGAIN→Inputフェーダー→Output1-2→OutputSTEREO(MASTER)→EQorAMPorSP
一度に複数のマイクの音量を調節できる便利な機能であるが、音は直接MASTERに通すより多少悪くなる。ST/MASTER兼用ならSTに限りどうでもいいが。
・MATRIX
MATRIXというのはGROUPよりさらに上位の、GROUPをまとめてやる機能のこと。よほどInputの多いミキサーでない限りついていない。
・AUX
AUXというのはOutputセクションとは別に、Inputchから直接Outputできる機能のこと。メインスピーカーに用いられることはめったになく、もっぱらモニタースピーカーに用いられる。
Inputchの真ん中当たりにツマミでついている。フェーダーの値とは関係なく、こことAUX全体を統括するツマミ(AUXchMASTER)を調節するだけでAUXchOutputから出力できる。
・EQ
ミキサーには大抵簡易式のEQが内蔵されている。HIGH/MID/LOWの3つのツマミや、HIGH/MID FREQUENCY/MID LEVEL/LOWのツマミといった感じで。
前者はただ調節してやりたい音域のツマミを使って音量調節するだけでいい。後者のMIDはFREQUENCYで調節する周波数を選択し、LEVELで音量調節する。超簡易版PEQ。
GEQが音切りや全体的な音色を調節するのに対し、こちらは各マイクや音源に対しての音色を調節する。
・PFL/AFL
どちらもフェーダー付近にボタンがついている。Inputchの音をミキサーについているヘッドフォン端子で聴くための機能。
PFLはPreFADERLISTEN、フェーダーに入る前の音を(≒フェーダーの値に関係なく)聴くことができ、AFLはAfterFL、フェーダーから出た音を(≒フェーダーの値と同じ音量で)聴くことができる。
どちらもOutputセクション付近にMASTERのツマミがあることが多い。
・ON/OFF(MUTE)
フェーダーの上部についている、ボタン式で音のON/OFF(MUTE)を操作できるもの。フェーダーをいちいち上げ下げするより非常に使いやすい。